たらちね
落語「たらちね」のあらすじ
長屋の大家が話があるというので、八五郎が行ってみると、そろそろ身を固めないかという。二十四の八五郎に薦める相手は二十歳で器量よし、長持ち二つ分くらいの支度はしてくるというので、八五郎は訳ありだろうと勘ぐる。大家さんが言うには、言葉が丁寧すぎる女だとのこと。
先日も町で会ったら「今朝(こんちょう)は怒風激しゅうして、小砂眼入(しょうしゃがんにゅう)し歩行為り難し」という。後でよくよく考えて、「今朝は風が強くて、砂が目に入って歩きにくい」と言っていたのがわかった、という具合。八五郎は、それだけの傷なら構わないと、さっそく今日その日に嫁をもらいうけることにする。
風呂にも入ってきて、火をおこしたり、せっせと準備をする八五郎。新婚の食卓を想像して、嫁さんがお茶漬けをサクサク食べて、たくあんをポリポリ、箸があたってチンチロリン、同じように自分がお茶漬けをザクザク食べて、たくあんをバリバリ食べて、箸があたってガンガラガン、続けてやったら♪チンチロリンのサ~クサクのポ~リポリ、ガンガラガンのザ~クザクのバ~リバリ、と歌いだして、うるさいと怒られる。
そうこうしているうちに嫁がやってきた。二人きりになって八五郎が挨拶をすると、嫁の返事が「賤妾浅短にあって是れ学ばざれば勤たらんと欲す」。八五郎はさっそくわからず、「金太郎を干す」とは何だ?と首をひねる。
次に名前を聞くと、「自らことの姓名は、父は元京都の産にして、姓は安藤、名は慶三、字を五光と申せしが、ある夜わが母三十三歳の折、丹頂の鶴を夢見て妾(わらわ)を孕めるが故、垂乳根の胎内を出でしときは鶴女(つるじょ)。鶴女と申せしが、それは幼名、成長の後これを改め、亀女(かめじょ)と申し侍るなり」という返事。あまりに長いので紙に書いてもらい、八五郎が読んでみるお経のようになってしまい、これでは用事のあるときに話掛けることもできないと嘆く。
翌朝、嫁は早起きして朝飯の支度をしようとするが、米のある場所がわからない。八五郎を起こすのに「あ~ら、わが君、あ~ら、わが君」と呼ぶので、八五郎はたまらない。米の場所はどこか、という質問も、馬鹿丁寧でなかなか通じず一苦労。長屋に葱を売りに来た八百屋にもその調子で話し、八百屋は思わず、ははぁと平伏してしまう。
朝飯ができると、嫁が「あ~ら、わが君。日も東天にましまさば、神前仏前に燈灯(みあかし)をともし、御飯召し上がったのち、恐惶謹言」というので、八五郎も「飯を食うのが『恐惶謹言』なら、酒を飲めば『依って件の如し』だ」と返すサゲ。
※『恐惶謹言』『依って件の如し』は、ともに手紙の末尾につける言葉
落語「たらちね」が聴けるCD・観られるDVD
![]() 立川談志ひとり会第20集 | 1970年7月21日新宿紀伊國屋ホールでの収録です。 立川談志演じる、馬鹿丁寧な嫁、いいですよ~。嫁の名前のところなんか、嫁が話すときにはホントに馬鹿丁寧以外の何物でもないのに、八五郎が読むとお経っぽくなる、その似ているようで微妙に異なるリズムはさすが。 |

