天災
落語「天災」のあらすじ
ご隠居のところに、八五郎が離縁状を代筆してくれと来る。嫁への分だけでなく、実の母への分も離縁状を書いてくれというので、あきれ返ったご隠居は、長谷川町の紅羅坊奈丸という心学の先生に紹介状を書き、八五郎に先生のところに行ってこいという。
ご隠居からの手紙を読んだ奈丸は、八五郎に「喧嘩をしても得はない」「ならぬ堪忍するが堪忍」「短気は損気」「孝行のしたい時分に親は無し」などと諭すが、八五郎の威勢の良さはおさまらない。そこで奈丸は、具体例を出して八五郎に考えさせることにする。
「道を歩いていると、小僧の撒いた水が着物の裾に掛かったら、どうする?」と問うと、八五郎は「年端のいかない小僧でも張り倒す」という。「屋根から瓦が落ちてきて頭に当たったら、どうする?」と問うと、八五郎は「家の主に喧嘩をふっかける。空き家なら越して来るまで待つ」という。「では外を歩いていると、雨が降って来て全身濡れねずみ、どうする?」と問うと、喧嘩相手になるもののいないことに気付いた八五郎は、諦めるしかないという。
奈丸はそこを捉えて、「雨でずぶ濡れなのが諦められるなら、小僧が撒いた水が諦められないはずはない。何事も人のせいではなく、身の不運、天災だと思い、諦めることはできるだろう」と言い含める。そういわれて、八五郎もやっと納得する。
家に帰ると長屋が騒がしく、聞くと八五郎が前の嫁ときちんと別れないうちに、新しい女を連れ込んで大変だったのだとか。そこで八五郎は、奈丸から聞いた話を熊五郎にしてやろうと、熊五郎の元に行く。
八五郎は説教を始めるが、「短気」を「狸」と言い間違えたり、母親を既になくした熊五郎に、母親を粗末に扱うなと説教したり、話がかみ合わない。例え話も、屋根から小僧が落っこちたことになったり、雨が降ったとたんに小僧が水を撒いたことになったりして、めちゃくちゃ。
八五郎はめちゃくちゃなまま説教を続けて、「元のかみさんがどなりにきたと思うから腹が立つんだ、天が怒鳴りこんできたと思え。是即ち天災だ」と説くと、熊五郎は「天災じゃない、先妻だ」というサゲ。
落語「天災」が聴けるCD・観られるDVD
![]() 立川談志ひとり会第6集 | 1966年10月12日新宿紀伊國屋ホールでの収録です。 普段、テレビやラジオで、落語を演じているのではない立川談志の姿をよく見る私には、ぺらぺらと弁の立つ談志しか知らずにいたのですが、この落語の奈丸先生と八五郎のかけあいの緩急のリズム、すごくいいのです。もっとこういうの、テレビやラジオで流すべきですよ、ホントに。立川談志の芸の素晴らしさをもっと見せて欲しいです。 で、八五郎が熊五郎に対して先生の真似してもできない部分で、言葉がおかしいだけでなく、リズムも八五郎テンポでの説教なんですよね。奈丸先生と八五郎の掛け合いの緩急が素晴らしいので、最後が「緩急」でなく「急急」になってしまうのも、より際立つんです。 |

